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星屋 泰二; 島川 聡司; 市橋 芳徳; 西川 雅弘*
Journal of Nuclear Materials, 191-194, p.1070 - 1074, 1992/00
被引用回数:10 パーセンタイル:67.74(Materials Science, Multidisciplinary)TiNi形状記憶合金の形状記憶特性を利用した原子力関連機器分野への応用開発が進められているが、形状記憶合金に及ぼす中性子照射の影響については明らかではない。照射環境下におけるTiNi形状記憶合金の使用条件を見出すため、3種類のTiNi形状記憶合金を様々な中性子フルエンス条件下で照射し、照射後等温・等時焼鈍後の電気抵抗測定を実施して、変態特性を調べた。さらに照射後の変形挙動を明らかにするために低温引張試験を行った。照射温度が520Kの場合、損傷量にかかわらずM温度の変化は小さく、未照射材のM温度に殆ど一致した。また323Kで照射すると、M温度は急激に低下したが照射後に523Kで焼鈍すると、照射前の変態温度に回復した。この回復温度は極めて低いHomologous温度(T/Tm;Tm融点)0.33に相当する。これら形状記憶合金特有の照射効果は照射下の規則-不規則変態に関する検討結果によって説明出来る。
星屋 泰二; 高田 文樹; 近江 正男; 後藤 一郎; 安藤 弘栄
日本金属学会誌, 56(5), p.502 - 508, 1992/00
二種類の照射温度(323及び520K)で最大速中性子フルエンス10mまで中性子照射し、さらに照射後に523K以上の温度で焼鈍したTi-Ni系形状記憶合金の変態特性及び変形挙動を電気抵抗測定及び引張試験によって調べた。323Kで照射した場合、照射の影響は大きく、Ti-Ni系合金のM温度は、10dpa以上の損傷で急激に低下した。520Kで照射した場合、M温度低下は小さく、損傷の影響は極めて小さかった。Ti-Ni系形状記憶合金の照射下状態は二つの相反過程、すなわち不規則化と規則化からなる。この合金では、520K照射によって、空孔などの欠陥移動が熱振動で助長され、規則化が不規則化よりも優勢になるため、損傷回復現象が起こる。照射下の規則-不規則化理論を用いて、この現象を温度、損傷及び損傷率の関連から説明し、損傷回復現象が起こるしきい温度が520Kであることを明らかにした。
星屋 泰二; 田昭 治*; 安藤 弘栄
日本金属学会誌, 56(7), p.741 - 746, 1992/00
中性子照射したTi-Ni系形状記憶合金の673K以下の温度における高温変形挙動さらには照射後に473,523,573Kで焼鈍した際の変形挙動を引張試験及び硬度試験を用いて調べた。中性子照射によって照射誘起超弾性など特異な変形挙動が生じた。これらは523K以上の温度における照射後焼鈍によって完全に回復した。この原因としては、照射によって生成した空孔などの欠陥移動が熱振動で助長され規則化過程を促進するためである。照射中のTi-Ni系形状記憶合金では、二つの相反する過程が競合して起きる。すなわち、照射誘起不規則と空孔移動によって促進される規則化である。これらの過程は照射温度と照射フルエンスに依存する。
星屋 泰二; 田昭 治*; 伊藤 治彦; 伊丹 宏治; 高村 三郎
Proceedings of International Conference on Martensitic Transformations, p.685 - 690, 1986/00
優れた機能性を有するため原子力分野において様々な応用が期待されるTiNi形状記憶合金は、中性子照射等の照射特性が明らかでないことから、実用に供された例は少ない。原研JMTRでは初めてTiNi合金の中性子照射実験を行ない、新たに開発した遠隔操作型電気抵抗測定装置を用いて得られた電気抵抗測定及び低温引張試験データをもとにTiNi合金の変態特性や変形挙動に及ぼす中性子照射の影響を調べた。その結果、(1)変態点(Ms点)が照射と共に80K以下に低下した。 またマルテンサイト変態の前駆状態に対応する変態点(M's点)はMs点に比べ照射により受ける影響は少ない。(2)応力-歪線図から、破断応力及び破断歪は大きく変化し、1300~1700MPa,6~8%を示した。(3)形状記憶効果は、照射により示さなくなったが、530Kの焼鈍で回復した。以上のことから形状記憶合金の照射に対する感受性の大きさは、照射により生成した不規則領域が影響している。